2008年7月30日水曜日

国際法から竹島問題を検証①用語説明 傑作(5)

国際法から竹島問題を検証①用語説明 傑作(5)
2008/7/30(水) 午後 1:23竹島問題歴史 Yahoo!ブックマークに登録


 国家の領域得失の諸権原には、先占、時効、併合、割譲、添付、征服があり、これらの用語を簡単に説明します。竹島問題を念頭に入れて見て下さい。

 【先占】
 先占とは、帰属未定の地域に国家が支配権を及ぼして、これを取得する事である。先占が有効となるには、国家が領有の意思をもって、無主の地を実効的に占有する必要がある。国際法上の無主の地とは、どの国の領有にも属していない土地ということであり、その上に人が住んでいても、国家の領土でなければ占有できる。

 国家の領有意思の表明は、当該地域を国家の版図に編入する旨の宣言、立法上または行政上の措置、他国への通告などによって表示される。通告が必要条件か否かは、通説では否定されていて、それ以外の手段でも領有が表明されていれば足りるとされます。

 実効的占有とは、現実の土地の使用や定住のような物理的な占有と理解するか、当該地域に対する支配権の確立といった社会的占有と理解する2説があり、実効的占有では、無人島を発見し、これに国旗を掲揚する等の象徴的な領土の編入行為だけでは、有効な先占とはならず、通説では、発見に未成熟の権原を認め、発見した国に相当期間の優先権をもたらすとしますが、実効的占有が続かないと、領土の取得は認められない。実効的占有の程度は、土地の地理的状況や、居住人口の密度により、その度合いには濃淡があり、無人島や極地でも、定期的な巡視などの方法で国家機能を及ぼすことにより、これに対する先占は有効となる。

 【時効】
 時効とは、国家が他国の領土に対して長期間、平穏かつ継続して支配権を行使した結果、これを取得することである。他国の領土に向けて、領有意思と実効的占有を要件として、長期間の妨害されない占有が必要。時効完成の期間についての明確な定めがないため、領土取得の権原として認めない説もある。他国が占有し、継続して支配権を及ぼしている場合、何ら実効的対策をとらなかった場合に、時効が完成して領有権を失う場合がある。

 【添付】
 添付とは、新しい土地の形成に基づいて、国家の領域が増加する事である。新土地の形成は、領海内の海底の隆起、土砂の堆積、その他自然現象によるものから海岸に埋め立て地作るなど、人工的な新地の形成によっても、添付は認められる。外洋に面した部分を埋め立てた場合、その分だけ領海が外へ伸びた事になり、領海が増加する。

 【併合】
 併合とは、国家が他国との合意によって、領域の全部を譲り受ける事。割譲との違いは、譲渡国の一部ではなく、全部を取得する点にある。

 【割譲】
 割譲は、国家が他国との合意によって、領域の一部を譲り受ける事。平時の割譲としては1875年に日本とロシアが合意した樺太・千島の交換日本は樺太の共有権をロシアのために放棄し、ロシアは千島の北部・中部18島を日本に譲り渡した。

 【征服】
 国家が実力により他国の領域を取得すること。ただし、現行では領域権原としての征服は認められない。

 領土の取得と領土紛争に関して適用される原則

1.用語解説
領域権原・・・一定の地域について、領域主権を有効に設定し行使するための原因または根拠となりうる事実

領域主権・・・国家領域の領有・利用に関する排他的権利が及ぶ場所的な範囲を画定するとともに、そこに在留する全ての者に対し包括的な国家管轄権を行使しうる権能

国家管轄権・・・国家がその国内法を一定範囲の人、財産または事実に対して具体的に適用し行使する国際法上の権能

紛争・・・各国が相互に排除しまたは否認しあう主張を公然と行う場合

2.領域の取得
領域権原の取得は、以下の二種類に大別されます
原始取得・・・それまでいずれの国にも属さない地域を先占その他の権原により、国家領域に編入すること。先占においては実効的な支配を要し、その地域における領有意志をもった国家活動(立法・行政・司法等)が実際になされることを要する。

承継取得・・・それまで他国の領域であった部分を併合、割譲その他の権原により転移を受け、国家領域に編入すること

3.時際法
過去の事実を検討する際に、一般的に、その当時に有効であった国際法規に照らして判断すること

4.決定的期日
国家間に領域を巡る紛争が発生した際には、決定的期日以前の平和的・継続的な支配が解決の基準となる。当時国間に紛争が発生し、または領域主権の帰属が決定的となったと見られる時期を、「決定的期日」として決定する。これが決定されると、この時期を基準として、領域権原の証拠となる事実の証拠力が定められる。原則として、決定的期日以前に存在した事実または行為に限り証拠力を認め、特に紛争の存在が明らかになった時点で当事国が自己の立場を有利にするために行った行為については、証拠力を否認する。この原則の例外として、決定的期日以前より継続する事情があり、当事国が自己の立場を有利にするために行ったものでないかぎり、証拠として考慮されうる。

5 その他
・領域主権の表示は、遠い過去の時代に遡って必要とされるわけではなく、決定的期日直前の時点で、現地の状況に応じて合理的と認められる程度に存続しており、他国の主権主張と抵触していなければ十分である。

・本土から容易に到達できる地域については、現地に対する裁判権と、通常の地方行政の実施、政令の適用など、法秩序を維持し実現するための具体的かつ継続的な国家活動を通じての、占有と直接関係のある証拠の存在が必要である。
・占有のため、他国に対する通報は通常必要ない。
・隣接性(地理的な近接性)を根拠とする領域権原は、国際法上の独立の権原としては認められない。

 

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